ここでは岡田建設が目指す9のこと
1.家を建てるということについて
当然のことながら、家をつくるのは施主様です。自分は、工務店というのは、あくまで、それをプロとしての知見をもって、手助けするという立ち位置です。 自分の役割は、施主がどのような家にしたいのかを的確に把握し、その実現を図るということにあります。
現在、住宅メーカーは、「住宅を購入する」という言い方をしますが、自分としては、いわゆる建売住宅は購入でしょうけれども、住宅というのは購入するものではなく、造りあげるものだと思っています。また、ユーザーという言い方も、自分としては使いたくない言葉だと考えています。施主、要するに施工主とお呼びしたいです。 家を建てるのは面倒くさいとお考えの方が多いように感じられる現在です。でも、ほとんどの方にとって一生に一度の事業ですから、それを十分に楽しんでいただきたいと考えます。究極、もう一度建築工事をやりたいなーと持っていただきたいんです。
2.理念
一つの家をつくるのに携わるひとたち。
施主様、設計者、施工者、専門職(職人集団)。この人達が、施主様の求めているものが何なのかを的確に把握し、一体化して動いて、会社、職人たちが持っている技量を100%発揮させて、初めて良い家を完成させることができます。
その時、この関係は、タテではなく、ほぼ、ヨコ一線でありたいと考えています。
先代から、「三方良し」ということを言われていました。施主様、工務店、下職の職人たち、の三方が良くなければ、良い仕事はできない。ということです。設計・工務店の指示することはダメだと分かっていても何も言わずに従う職人、職人に何も言わせない、施主に何の提案も出来ないで、ただ決められたことだけをする設計者・工務店。それでは良い家はできないと考えています。施主様には、やりたいこと全てを言ってもらいたいのです。自分たちはその実現手段をプロとして、考えて、考えて、考えて、それでも出来ないものはできないと理解してくれることもお願いしています。施主様、工務店、下職の職人「三方良し」それを会社の理念としております。
下請けをしていない、今の我が社の場合、設計・施工という場合がほとんどです。ですから、設計事務所がこの三方の中には入っていません。施主=設計事務所となるんでしょうか。 実は、仕事のよくわかっていない設計事務所と上下の関係で仕事をしたくはないんです。自分たちは、設計事務所が要求したものを1ミリの精度で作り上げる技術は持っています。まずいだろうなとわかっていても、設計の言う通りの仕事をして、ダメだった部分を施工の責任にされる。嫌なんです。きちんと言わないで施工した自分自身が。設計事務所がオールマイティーで、自分がすべて正しいとする設計屋さんとはあんまり・・・。
家を建てるというのは、すごく面白いことです。いろいろと決めるのが面倒くさい。そんなことを思わないでください。楽しんでほしいんです。出来ないんじゃないか?とはじめから決めつけず、やりたいなと思うことをぶつけてください。考えるのはこっちです。職人です。出来るかできないかを考えるのは施主さんではなく、工務店、職人たちです。面白い仕事、難しい仕事を楽しむことができる職人たちと一緒に家を建ててください。
3.設計
お施主様からの建築の依頼があってから、設計の作業に入ります。ゼロから出発ですから、どの方向に行ったらよいのか全く分かりません。徐々に方向を付けていきたいという段階です。
ご希望を述べられる時には、前にも言いましたように、くれぐれも素人判断で「出来ないだろうな」と考えてしまわないで下さい。その希望を言わないでおくことは、せっかくの注文住宅を建てようという時に非常にもったいないことです。こちらとしてはプロとして、考えて、考えて、その希望を盛り込むにはどのようにすればよいのか、出来るのかを考えていきます。考え抜いて100%にはならなくとも、なるべく近づけてご提案をします。
デザインについては、外部スタッフに助言をいただくこともします。基本的には、パソコンソフトで自動作成できるようなデザインは嫌いです。かといって、奇をてらうようなデザインにはしません。目立たせるということは考えますが、流行を追おうということはしません。絶対条件は、設計段階で将来ここが痛むだろうなと分かっているデザインはしないということです。末永くお住まいになる、その為には建築業60年を超える経験を注ぎ込ませます。内部の仕上げも、住んでいくうちに愛着が出てくる家、古くなってもその家族の成長に合わせて、その家族になじんでいくデザインと仕上げを考えます。そして、収納は造り付を原則としています。大地震でも、家そのものが倒れない限り、造り付の収納家具が倒れて、中にいた方にケガさせるということはありません。
4.キーワード
住宅リフォーム
弊社で施工した物件に関しは、無条件にお受け出来ます。
当時の施工要領、構造などについて、わかっておりますから、どのようにリフォームできるかがはっきりとわかるからです。
他社さんの施工した物件に関しましては、十分な現地調査をさせて頂いたうえで、お受けいたします。
リフォームの相見積もりに関しましては、十分な経験(特に構造的に)を積んだ設計士さんが入念に設計したものでなければ、相見積もりの参加もお控えしております。経験上、現場に入った時に、こんなはずではなかったという度合いが非常に大きくなるからです。
例えば、ただ、外装の塗装リフォームということを依頼されたとします。自分は、ただ、外壁がきれいになればそれでよしとは考えません。より長く、防水性その他の耐久性が持続する材料を使うように考えます。仕上がりは、素人さん(時にはプロでも)には同じ
に見える事でしょう。
耐久性能が高い方が、当然ながら、金額も高くなります。信用していただかなくてはならないのです。
5.施工
弊社は、おかげさまで、創業以来60数年がたちました。先代が、昭和26年に当地に居を構えまして、営業をさせて頂いて以来の下職さんがいらっしゃいます。当然、その方ご自身ではありませんが、その曽孫に当たる方に弊社の仕事をしていただいております。他にも、20年、30年というお付合いの方々が非常に多くいらっしゃいます。 こういうご時世ですから、後継者がなく、おやめになった方々が、昨今は多くなりましたが、その職種を継続してやって下さる方を紹介していただいております。 そのような方々との施工です。連携の良さは、下職の人たちからも感心されるほどですし、みんなの人柄が良くなければ、続くものではありません。その施工に関係した人たちの人柄が滲み出る住宅をつくり続けていこうと思っております。リピーターになって頂いているお施主様から、職人たちに対して「あら、元気そうですね!とか、「お孫さんはどうしたの?」とか言ってくださいます。
このような方々との連携作業で、施工しております。
自慢話です。 坪あたり200万円をかけた専用住宅で、工期は7か月、毎日、ほぼ10人以上、竣工前の2か月は毎日30人程度の職人が入って施工しましたが、お引渡しの検査の時、1か所も傷はありませんでした。もちろん、施工中に職人同士がいさかいを起こすなどということもありませんでした。下職の皆さん方が、その仕事に誇りを持って取り組み、立派な建物の完成に向けて邁進し、立派に竣工、お引渡しをいたしました。
6.大手住宅メーカーと地場の工務店
住宅メーカーの凄さ
資本力、1軒失敗しても作り直せる力があります。テレビ・雑誌などに宣伝をかけられます。悪く言えば、ユーザーを洗脳してしまうものをぶつけることができます。営業力もすごいですが、良さといえるかどうかは疑問と思うところです。デザイン・企画力も、建材メーカーとタイアップして開発し、住宅メーカーのオリジナルとして売り出せます。規格化された、どこでやっても住宅メーカーごとに同じ、均質の建物ができます。
住宅メーカーの限界
広告宣伝、営業費、本社管理費が莫大にかかり、それらを下げることができないというところにあります。その時、大手住宅メーカーだからといって、価格に経費をまるまる上乗せをする事は出来ません。それを補う為にしなければいけないことは、購入資材価格、労務価格を下げることです。数にものを言わせた交渉により、可能です。
下職苛めというのがこれです。いくら仕事が続いて出るとは言っても、生活できなくなるような単価では職人は仕事を受けられません。限界があります。また、プレハブメーカーでは、良く管理された工場内生産により技量的な差は発生しないし、どれでも、どこでも同じ精度の品物をつくれるとうたっていますが、大きなカラの箱を運搬しなければならないという運送費に係る限界が生じます。
しかし、どちらにしろ、最後は現場で仕上げるということが必要である事には変わりがありません。現場作業は、アルバイトでも出来るほど、簡便さ、平準化が徹底的に追及されてはいますが、現場管理、職人の技量に頼ります。
そして、決定的な事は、ユーザーが住宅メーカーから建物を購入するというのは、その会社の宣伝力と会社経費のお金を払うという事になると思います。
地場の工務店
1軒失敗すれば取り返しはできません。しかし、これはマイナスとしてとらえてほしくはありません。熟練の技で、絶対に失敗をしないように覚悟をきめて、心を込めて施工します。それができるのは地場で長く仕事を続けている工務店です。職人の技量には経験年数による差が発生します。個人の資質による差もあります。長く続けているというのは、その仕事を支えている職人集団にも経験豊富な人材がそろっていると考えてよいと思います。そこそこの工務店には価格交渉力もあります。工務店に工事を依頼するというのは、実績に裏打ちされた経験と技術にお金を払っていただくという事になるかと思います。
7.坪当たり単価の魔術
今は、工事費が、坪当たりいくらということを最初に言わなければならない時世です。それを単純比較して、こちらが安い、こちらは高いという建築屋にしてみればわけのわからない流れになっています。
良く言うたとえ話をします。
トヨタの自動車販売店に行って「車を買いたいが、クラウンはいくらしますか?」と聞いたときに、すぐに金額を言える販売員はいないはずです。「どの程度のクラスのクラウンをご希望ですか?」と聞かれることでしょう。それを言っているのと同じことを聞いているということなのですが。
坪当たりの工事単価は、出来上がって、引渡しの時に「全部でいくらになりました。という金額を延坪で割って出た金額が正しい坪当たりの金額ということです。最初にどんな家にしたいかも聞かないで、「はい、坪当たり30万円です!」というのは自分にとっては詐欺に近いと感じています。住むのに絶対に必要な項目を別途工事として除外しておいて坪単価を提示し、これも追加、あれも追加といって加算していき、引渡しの時の清算は。最初の話の倍になっていた、という実際の事例を耳にしています。
ここで、文章での説明は難しいのですが、建物の形によっても、大きさによっても坪単価は極端に上下します。 正方形に近く、総2階建てで、家の真ん中に階段を配置し、廊下を無くすようにすると坪単価は下がります。
延べ面積(=分母)が小さいと坪単価は上がります。生活する上で絶対に必要な台所、浴室、トイレなどにかかる金額は、もちろんグレードにもよりますがほぼ一定ですから、分母が小さければ坪単価は上がるという事をご理解していただけると思います。 過去に、自分の会社で施工した物件を思い出しながら、この程度ならばこのくらいかかるという目安をいうことは出来ます。しかし、仕上げのグレード、設備関係のグレードもわからないで、いくらかかるというのは、ありえない事なんです。
坪単価を目標に工事をするというのは、自分が考えるところ、やるべきことを省いてその金額のみを追求するということになりがちと考えます。間取りなどを、規格の寸法に当てはめるという作業の繰り返しをするということです。土地に合わせる、その土地の風向きなどを考えることをしない、ただ、安くなるプランを作りそれを押し付けているような気がしてなりません。
8.注文住宅
今度は、洋服に例えます。 建売住宅は吊るしの既製服、住宅メーカーの住宅は一番単純なパターンメイド。注文住宅はテーラーメイド。テーラーメイドの洋服は、1回着ると自分の体にきちんとフィットしてこたえられないようです。右左の腕・足の長さ、首周りを緩くあるいはきつく、使う材料は、パターンメイドみたいにごく限られた種類ではなく選べるテーラーメイド。本当の注文住宅と名乗っても良いのは、それと同じように、敷地形状、方位、家族構成、趣味、生活信条、などなどを考えて設計されたものではなくてはならないと考えます。
9.住宅の価値
価格的に価値があるのは、重要文化財級以上の住宅です。日本では、住宅の資産価値というのは、請負金額より下った固定資産税評価額ということで評価されます。ここで言いたい住宅の価値というのは、そういうことではなく、その家に住まう人たちに愛され、住んで良かったと思っていただき、自慢することも出来、快適に、末永く、住み続けられる家であれば、その家は、他に替えるもののない非常に価値の高い住宅である。といっていただけるのではないか。というものです。
そういった意味での価値ある住宅をつくりたいと考えてきました。