2022年7月 選挙イメージ

現職議員が投票率のアップを嫌がる理由

先日、東京都杉並区長の選挙があり、47歳の女性新人の候補者が、4期目を目指した61歳の男性現職の区長を187票差で破りました。今度、区長になる方はこの4月に立候補表明をしたとのこと。 過去の結果を見ると現職が当選するのが当然で、新人が当選することは考えられない状況だったと思います。

コロナ禍で一般人には出歩かないようにさせておいて、自分はゴルフをしていたとか、現職の支持会派が分裂したのが響いたというのがあるようです。落選確定後、現職区長は「自分の力不足。不徳の致すところ」と述べたそうです。「出かけるな!」と言っておいて、ゴルフはだめですよね。 しかし、過去はこれでも当選していたでしょうね。

確定投票率は、37.52%でした。決して高い投票率とは言えません。 しかし、前回は32.02%で、それを5.50ポイント上回っています。 あるフリーライターさんは投票率が上がったのが今回の結果につながったと東京新聞でコメントとしています。 

以前にも書きましたが、支持団体のみに頼っている政党の候補者は、投票率が低い方が当選する確率が上がり、選挙戦は有利になります。現在の議会は、国、地方を問わず、低い投票率によってもたらされた、民意を反映しているとはいいがたい構成であると考えています。 ですから、今の議員連中はすべからく、自分たちに有利な低投票率を維持するために、積極的に投票率を上げる工夫をしません。

先日、オーストラリアの総選挙があり、結果、9年ぶりに政権交代をしました。 その選挙の投票率はいくらだと思いますか?  90%を超えているそうです。 なぜか? オーストラリアは投票することを義務にしているからです。 投票しないとお金を取られるそうです。

罰金まで取るというのは行き過ぎ感もあります。 逆に飴をあげるというのはありではないかと思います。 「選挙に行かない自由もあるはずだ!」という意見ももちろんあるとは思います。 「行きたくても行けない理由がある!」という意見もあると思います。だから、罰金ではなく飴なのです。 

とにかく、30数%の投票者の半数が支持してというのは全体の15%程度という事なのです。全体の15%の支持しかなくても国会は過半数以上の議員をつくれるのですから、これほどうまい話は無く、しがみつくのも当然です。

そして、行けない理由に「日曜日は休めない。」というのもあると思います。これには日曜日ではなくても期日前に投票できるという、期日前投票という方法があります。 行政は、これをもっと周知する努力をすべきです。 昔は、もっと新聞やテレビなどで、「いついつ投票日です。」というのを流していたように思います。 ゲスの勘繰りをすれば、組織に頼る政党がそういう予算を付けなくしているのではないか? です。 役人たちもそれを忖度して、何もしないのでしょうか?  

組織票に頼る人たちは、今回の杉並区長選挙結果をみて、たった5%の投票率アップが結果に与えるインパクトに危機感を持ち、今以上に、投票率が上がることを止めようとすることを考えるのではないでしょうか。投票率が上がることは自分の首を絞めることになるので嫌がるのは当然と言えば当然でしょうね。

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