令和7年4月から、建築基準法が改正されました。法律用語なのでしょうが、自分が考えるのに、「改正」という言い方が気に入りません。 「改めて正しくする」=「以前は正しくない」 という感じがするからです。そして今回のが「改正」というのであれば以前の法律はどう正しくなかったのか? 単に確認事項が増えたことだけです。そのために遅れています。そしてこの「改正」で、ものすごく迷惑しています。
工事の依頼を受けますと、まず平面プランの打合せから始めます。 平面プランが決まり、立面も決まり、仕様も決まれば、その段階で建築設計事務所に建築確認申請業務を委託します。 設計事務所ではその建物が法的に適合しているかを検討し、確認すべき事柄を書き加えて、平面図、立面図などの図面を修正して確認申請を提出するという手順で進めます。
姉歯の建築構造計算書の偽装事件以降、建築基準法の「改正」がありその期間は長くなりました。 特に構造計算を要する建物は、構造の審査に時間がかかるようになりました。それでもここでの「改正」は、改正だったと思います。その前はザル法でしたから。時間がかかるようになったのもある意味納得できました。
今回の「改正」項目に、断熱性能に関する項目があります。木造でも規模により構造計算が義務化されました。また大規模リフォームの確認申請に関して厳格化されました。 断熱に関しては自分ではその内容についてわからない部分が多くあります。的確で正しいことを掛けません。「改正」内容については、別途資料を添付しますので見て頂ければ幸いです。

簡単な話、断熱材を大量に使って、省エネという事をものすごく考えています。CO2の排出を2050年までに実質0にするという目標を立てた政府が、考えた手段の一つが、今回の断熱性能を異常に高くする改正になったと考えています。今のうちに断熱材を製造するときのCO2を出しておいて、50年ころには住宅から排出するCO2を少なくするためなのではないでしょうか?と思っています。トータルではCO2は多くなります。そして、うがった見方ですが、断熱材メーカーは忙しそうです。
自分は以前から、建物の耐久性を考えた時に断熱材は必要最小限で良いという考えです。 これは東京だから考えることかもしれません。 自分の記憶では断熱材が出始めた頃に、一般的には壁内結露という概念は無かったと思います。木造の場合、柱間に断熱材を空気の流れを止めるように隙間なく詰め込んで断熱をしました。北海道は、室内の温度を半袖で過ごせるくらい高くするそうです。外は氷点下の気温です。結果、壁内の湿気が内部結露し、材料が腐って耐久性が無くなるという事例が発生しました。ですから、壁内の空気の流れを妨げない断熱が大事だと考えていました。
4月以降、確認申請にとても時間がかかっています。 木造の建物でも、規模、内容によって確認が下りるまでに、3~5か月あるいはもっとかかっています。確認申請をするまでこうなるとは思いませんでした。
二年越しで打合せをしている物件(K邸)があります。RC造地下1階、木造地上2階の計画でした。2024年3月にお話を頂き、打合せが始まりました。 あの当時は建築関係だけではなく、いろいろなものの値段が上がっていました。工事の概算金額を出せない状況でした。何もかも資材の金額が月で変わっていくのです。 下職の業者さんも見積書を提出することに困っていました。工事にかかれる時期までその見積金額が維持されるかわからないからです。事実、この物件はまともにその影響を受けました。金額が折り合わずに、計画変更で、確認申請そのものをやり直しました。
もともと地下工事があるときは、構造計算で出される内容(柱・梁の大きさ、壁の厚さ、鉄筋の量)によって数量を算出して見積もり金額を出します。構造が決まるまで概算金額を出しません。出せません。 一般の人には理解が難しいところではありますが、構造計算をする建築士によって躯体コンクリートの量、鉄筋の量が変わります。日経新聞を読むと、鉄筋の相場、木材の相場、いろいろと、農産物の相場なども出ています。小豆相場で儲かった、損したなどと、先の相場を予想してばくちをしています。

建築資材で相場を張ることはしません。しかし、この時世です。工事が決まった段階で、見積金額で資材を押さえるという事はします。 相場と考えた時,上がりそうならば買っておいて、下がりそうならば買わずに下がってから買うなどをするでしょう。しかし、現場のことで頭がいっぱいで、先には下がるかどうか考えるよりは、その時の金額で抑えて現場のことだけを考えて仕事したいです。
しかし、建築確認が下りる期間が分からないために、その着工時期さえ予想が出来ない事態が行政によって引き起こされているのです。 行政側はその遅れが行政側にあるとは決して言いませんけれども。
まず、断熱の計算が必須となりました。その計算が出来る人が限られています。急に増えた業務に対処する人間をすぐに増やすことは不可能です。ですから遅れます。民間の建築確認機関でも業務は増えています。そしてその計算が正しいのかチェックする人をすぐに雇うことは出来ません。計算が出来る人が少ないからです。余裕のあるスタッフが計算できるように勉強すればよいと思うでしょうが、ギリギリでやっている事務所ばかりです。そこでも遅れます。
構造計算にしても今までの業務に、木造での構造計算が増えたわけです。構造計算事務所スタッフの数は増えません。「パソコンが計算するのでしょ?」「誰でもできるでしょ?」などと言わないでください。どのように構造設計するか、一人前にするのに数年は最低かかります。ここでも遅れます。
設計事務所でも、リフォーム工事の建築確認申請業務が増えました。 これの難しいところは、既存不適格の建物のリフォームです。不適格部分を的確部分にしなければなりません。それを現地確認しなければなりません。新築工事の場合、確認申請で現地確認が敷地と周囲の状況だけですが、リフォームの場合は、そのほかに建物の現況確認が増えます。時間がかかります。遅れます。

そんな事情でK邸の着工は遅れています。7月から、事前審査をしていますがまだおりません。各業者さんたちには、去年から、「もうすぐかかるから準備しておいてください。」と頼んでいました。「何か月経ってんだ!」ですよ。 もう信用がありません。実際に建築確認が下りてから、業者さんには「建築確認がやっとおりました。着工できますので準備してください。」という事になります。手ぐすねを引いて待っているわけではありません。それから工事の予定を入れてくれるわけです。そこでも遅れが生じます。
待ってくれているお施主様には本当に申し訳ないです。
こちらにしますと、あの現場を終わらせてから、この現場をという事を考えながら段取りをしているわけです。それがことごとくだめになります。これからは、建築確認には4か月5か月かかるかもしれないという事でお施主様にお話をして、そのように準備を進めるという事になりますが、K邸はとんでもないことになってしまいました。
こんな状態になっても役所はなにもしないのですよね~~。「遅れるのはこっちの責任じゃない。」なのですよね~~。
ちなみに、木材プレカットの工場も「8月9月頃まで仕事が無かった」と言っています。「今は忙しくて通常よりも時間がかかります。」と言われてしまっています。遅れていた建築確認が一斉に下りて工事が出来るようになったからです。コネを使おうとしましたが順番だそうです。 ここでも遅れが出ます。
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