マンション改修イメージ

マンション価値を保つ長期修繕計画

このところ、続けて分譲マンションの修繕に関する新聞記事が載りました。 それについて。

A
ある分譲マンション管理組合の理事長がその分譲マンションの開発業者の役員だそうです。このことは売買契約の約款に管理組合のことが載っていたという事でした。
そのマンションの修繕をする施工業者は、開発業者と一体の建築業者です。施工する時の手続きは、総会決議を通して承認を受けるという事で法律上の違反はなさそう。 しかし、その開発業者がマンション全体の40%近くを所有しそれらを賃貸している。またその関連業者もマンションの30%を所有し賃貸している。ほとんどのマンションの区分所有者は総会に委任状を出すので、理事会提案通りの議決がなされます。 要するに開発業者の思ったことは全部通るという事です。不必要と思われる修繕も施工する。積立金も高い。 そのことを区分所有者の一人が疑問に思い、マンション問題に詳しいと言われる弁護士に相談したのだが、法律上の問題は全くなくてどうにもならなかった。という記事でした。

Aについて    

分譲して終わりという事では、会社の将来を考えた時にはある意味で不安があります。 土地を手当てし-開発計画を練り-建築して-分譲する、の繰り返し。土地が手当てできなければ成り立ちません。 分譲した建物を管理すれば、継続的に仕事があります。 営業的に非常にお利口なやり方だと思います。  きつい言い方になりますが、一生に一度の買い物だったのですから、弁護士にでも頼んで契約条項を精査するべきでした。 そこまでやる人はまずいないでしょう。それを見越しているのでしょう。また、販売業者は契約時に約款まで読まないといけないのですが、読んで疑問を感じさせるようなやりかたはしないでしょうね。

【B】
2022.9.8付東京新聞の「老いるマンション」という記事で、孫の代まで価値を保つという目標で計画をしている例が載っていました。 
1975年竣工、271戸の分譲マンション。2075年で築100年となります。自分たちで、築100年時の修繕計画をまとめたという事です。以前に業者が作成した長期修繕計画を所有者が見直し、計画したようです。 計画を立てるために管理組合の会計担当理事さんがご苦労したという事です。 理事さんが勉強家でいらして、国交省のガイドラインなど資料を読み込ん改修計画を立てられたという事です。 この計画を立てるという事が、区分所有者が理事会に参加するという好循環を呼び、合意形成が楽になったり提案が多くなったりしたそうです。

Bについて

能力のある人が管理組合の理事になり、その人が良い人であった、という一言です。能力があり、邪な考えを持っていると、自分の懐のことも考える事でしょう。改修施工業者からのバックを前提に仕事を割り振ります。 オリンピック委員会のヤリ手の元理事みたいに自分の懐に金を還流させるのです。

【C】
特殊な案件かもしれない事例がありました。
もうすぐ築50年になろうという分譲マンションです。土地は60年の定期借地です。所帯数は覚えていませんが、150所帯くらいだったでしょうか。 所有者はこのマンションを分譲した建設会社で、住戸も30%程度所有し賃貸しています。このマンションの管理もしています。  耐震工事をしないといけないという案内が回ってきたそうです。 50年もたっているマンションですから、入居している人たちも多くが老齢です。 借地の買い取りも提案されました。管理会社から金額や条件が提示されて、ご高齢の人では負担が困難です。 改修をしないと、このマンションは大地震に耐えられません。 建て替えも提案されましたがそれにも当然大きな負担があるようです。 借地で築50年の物件の価値はありません。結局、建物だけ区分所有している物件を買いたたかれるわけです。年を取ってからの引っ越しという選択肢しかないというものです。

Cについて

特殊な事案です。あまり聞きません。というか聞いたことがありません。業者が非常に長い目で自分らの大きな利益を見ていた、という事になります。すごいと思います。 できませんね。あこぎに思いますが全く合法です。 

分譲した時に儲けて、今度はその区分所有の物件を買いたたいて、手に入れる。すべての所有権をわが手に戻し、全く新しく建て替えて、それを高く売って儲ける。 本当に頭が良いです。50年待ったというのも脱帽です。

マンション改修イメージ
※こちらの画像はイメージ画像です。

建物の改修にはお金がかかります。特に耐震工事は調耐震診断だけでもお金がかかります。 一軒家の外壁・屋根改修でもすぐに100万円を超える金額になります。 マンションでは当然規模にもよりますがもっとかかります。 ですから、よく検討しなければなりません。

以前、何棟か共同住宅を所有しているオーナー様から、共同住宅改修の相談を受けました。今の流行りでいう、リノベーションみたいなものでした。オーナー様は40歳台の方で、すごく勉強家です。リノベーション・改修に関していろいろなことを勉強しているというのが分かりました。 しかし、残念なことに的確ではないのです。インターネットで得た知識が90%。 机上のことで実戦には向かないというやつです。 言い方がきついみたいで申し訳ないです

シーリング材で一番良いのは、○○で、塗布材で一番良いのは△△ですよね、機能もこれこれは良い機能ですよね。このくらいの機能が欲しいです。金額はこれくらいと書いてあり、コストパフォーマンスが良いですよね。 すべてほぼ正しかったのです。 適材適所ならば。

極端なたとえをすると、金(キン)は絶対に錆びないから、屋根材に金(キン)を使えば今後永久に補修の必要が無いです。というようなことです。確かに正しい。しかし一般的にそんなことはまずできないし、よしんば有り余っているお金の使い道に困っていて、是非そうしたいのですと言われたとして、施工の技術が高いという前提で、補修の必要は無くなります。そのまま屋根に存在すればの話です。 金(キン)がそのまま屋根に存在し続けるという事が危ういと思います。 あり得ないたとえでした。

さきほど、施工の技術が高いという前提で と書きました。これは、昔話ですが、海に近い所で建物の話をしている中で、「潮風でも銅板は錆びにくいからメンテが楽です。」と言いました。その後ご自分の海の家の改修で金属部分を銅葺きにしました。 しかしながら施工が悪くて銅板の下に水が回ってしまい、下地から腐ってしまい、修理にお金がかかりすぎるという事で壊してしまいました。残念ながら銅葺きは岡田建設の施工ではありませんでした。 (また話がそれた。)

そのオーナー様とはじっくりお話をさせてもらいました、外壁塗装改修の使用材料についての説明の時には、話が早かったです。 塗装材料にはピンからキリまであります。「色さえきれいに変われば良いのだあ~」と安い材料と塗装回数を減らして見積金額を下げて提示するというのは、安くやる業者の常とう手段です。 

見積り合せをしましょう、といいますけれども、その金額が妥当かどうかを判断するのが、その工事を発注するオーナーさんだけだとしたら、往々にして金額だけで判断してしまう事が多いと思います。 そして安物買いの銭失いという事になります。 

先ほどのBのマンション管理組合理事の方は、金額が高くても長持ちする材料で施工する計画をしています。結局その方が得という事を認識しています。性能で金額の差が出ることも分かっています。そのことを的確にアドヴァイスしてくれる人もいるのでしょう。

岡田建設の場合、使う材料は中の上程度を使うようにしています。最上は不要と思われる機能がついている場合が多いからです。そして2回以上塗ります。それから、コロニアルの場合、コロニアルの間に塗料が入らないように施工します。入ったままですと、毛細管現象で雨水が裏に回り、腐れと雨漏りの原因になってしまいます。これは施工後数年あるいは10数年後に現れます。 そしてそれを説明しています。


又も昔話です。最初の建物は岡田建設ではなくてある住宅メーカーの施工でした。増築工事の時に設計事務所を通して呼ばれました。奥様がレストランをやりたいという事で、かなりデザイン性の高い難しい工事でした。それからいろいろと長いお付き合いをさせていただきました。 外壁の改修のお話を頂いて打合せにお伺いしました。 
見積りを提出しましたら、小学校の同級生だったという、近所のおじさんという人がいて、「自分の家の時はもっと安かった。もう1社見積もりを取らなければだめだ!そんなの常識じゃないか!」ときました。 こちらの見積もりはすでに出してあります。 その後、そちらの業者の方が安かったという事でお断りの電話が入りました。その後は伺っていません。後出しじゃんけんではフェアーではありませんが、そのことを言ってもしょうがありません。 まあそういうこともありますが、できれば同じタイミングで相見積にして欲しいものです。

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