歴史的建造物-旧森鴎外邸と久留里の古民家珈琲

“鴎外荘 維持に光”と言う記事が12月21日の毎日新聞の18面に載っていました。

コロナ禍で宿泊客の減少で維持が大変になり、経営していた老舗旅館「水月ホテル鴎外荘」を閉館しました。しかし、全国的にそれを惜しむ声が上がり、クラウドファインディングで旧邸修繕費を募ったところ、目標額を上回りましたが、旧邸の維持にはさらに費用が掛かるので、ホテルも再開していくことになったという記事です。

実は、先日、東南の方角が今月の吉方であることから、自宅から見て東南の方角に当たる、久留里神社にお水取りに行ってきました。以前は笠森観音と玉前神社まで行っていたのですが、運転に自信が無くなったので、ここまでにさせてもらいました。

久留里神社のご神水を頂き、社務所でお話をさせてもらったときに、「ここのお水は鉄分が強いので、町の中でもいただいたほうが良いですよ。」と言うお話をもらいました。

時間があったので、久留里の町で車を駐車して、自噴井戸からお水を頂き、散歩しました。そうすると、いわゆる古民家をそのまま利用している喫茶店があり、そこでコーヒーを飲むことにしました。 久留里町屋珈琲 と言う名前です。

道から建物に入ると6畳強の土間です。そこに店主さんにいて、コーヒーの種類を注文します。先にお金を払い、階段2段ほど上り、座敷に入ります。畳です。座ることも腰掛けることもできます。そこでコーヒーを待つわけです。床の間のそばに腰かけました。

建築屋なものですから、床の間に目が行きます。随分と太い床柱です。情けないことに材種はワカリマセン。皮付きのまま磨いてあり、直系5㎝ほどの枝が3㎝程飛び出ています。天井は羽重ね竿縁です。大天井も羽重ね天井です。 じっくり見ていると、常連さんらしい人が、「奥も2階も自由に見れますよ」と声をかけてくれました。さっそく奥に行きました。昭和初期に建てられたそうで旅館として使われていたという事です。

久留里町屋珈琲

食べログより転載させていただきました

 

非常に面白かったです。 その常連さんも一緒についてきました。 12畳くらいの部屋が3室続いています。ぐるっと3尺の廊下が回っていて、趣のある庭が見えます。縁桁はありませんでした。

各室の間仕切りの建具はありません。 それぞれの部屋に床の間があります。 最初の部屋の床の間の前で、常連さんがいるのに、「すごい!」と声が出てしまいました。 常連さんからは「なにが?」と言う声があがります。

床柱は4寸5分角くらいの黒柿です。 床框も大きさが4寸角くらいの黒柿。落し掛けも見付3寸くらいの黒柿です。 地板は欅の1枚板。 それぞれ、きっちりとくっついています。割れはしょうがないです。一番奥の部屋の床の間には、組子の障子がありました。お決まりの麻の葉(欄間)、三重菱(引き戸)蜀江(“)の3種類を1か所に集めています。

各部屋の間仕切り鴨居の上には切抜き彫刻の欄間です。おめでたい動物が切り抜かれています。板厚は3分くらいでした。

廊下の天井も羽重ねですが、直角に折れている箇所は、扇状に張ってあります。

2階に上がります。階段板は熱さが1寸5分の欅だと思います。木目の特徴はありませんでした。 2階も同じように3部屋あります。 黒柿は使っていません。後は1階と同じような造りでした。

しかし残念なことは、この店は2020年いっぱいで閉めるそうです。コロナ禍で客足が減ってしまい、続けられないという事でした。

この建物を残せないものだろうか・・・。この建物の活用方法は何が良いのだろうか・・・。

鴎外荘の記事を読んで思いました。地方の無名な建物にも目を向けてほしいな~

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