今回、東京都町田市で一戸建ての住宅を建てるというお仕事を頂きました。
建設敷地は、6m巾の前面道路から2m70cmほど高くなっています。当然擁壁があります。大谷石を積み上げた擁壁です。自分はこれが好きです。今の擁壁はコンクリート打放しが主流です。何か味気なく感じます。しかし、市は大谷石が嫌いなようです。
建築計画の概要は、2.7mの高さで敷地を削りとり、そこを地下駐車場として、その上に木造二階建て一戸建ての住宅を建てるとする計画です。 こちらでご希望を聞き、それを盛り込んだ平面計画を2~3プラン提出し、それらをたたき台に何回か打合せをし、間取りを決めていく作業が3か月ほどかかりました。 間取りがほぼ固まった段階でその次に配置図も決めます。
お施主様は和風がお希望です。その意向に沿って立面をデザインする作業を進めます。
屋根の形、屋根葺き材の種類を提案して決めてもらいます。平面の打合せ段階で窓の位置が決まりますけれども、その大きさ(高さ、横幅)と型式(引違いとか上げ下げとか)を決めます。
次に全体の仕上げを決める作業になります。
仕上げ材を決めなければなりませんが、色はまだ決めなくても構いません。 ここまでの打ち合わせが済んだらば、概算の見積もりを算出することが出来るようになりますし、確認申請を出すことができます。
この段階までくると、自分ら業者は全体というか出来上がった姿が想像できます。
建築確認申請を出すにあたり、通常の敷地、道路との段差があまりない、とかあっても1.5m程度であれば問題はありません。
しかし、ここの土地はそうではありませんでした。この2.7mの段差がある土地という事で、擁壁について市役所の担当と一悶着がありました。
専門的なことになるのですが、擁壁は擁壁だけ、というのが市の言い分です。
具体的に説明しますと、道路から敷地の上まで階段を付けます。つけなければなりません。この階段を擁壁に取り付ける設計をしたのですが、それを認めないという事なのです。 この部分の構造計算がやり直しになってしまいました。
自分が考えるのに、階段がついても安全なように構造計算をして出しているのだから、階段があるがために擁壁の耐力が落ちることは考えられないのですが、再度検討することにしました。更にもう一つ理由があります。このことが一番ダメージを受けたのですが、擁壁だけで確認申請をしてその審査に期間が50日かかり、建物の建築確認申請はその後になるというのです。
そこで、階段の取付方法を考えて擁壁にならないようにしました。ここでも少し時間がかかりました。
そのうえで、コレデヨロシュウゴザイマスかというご質問というかお伺いをしなければなりません。
そんなこんなでまだ建築確認が下りていません。職人たちには、始まったらば突貫みたいになるけど、申し訳ありませんがご協力をお願いします。
着工が遅れるたびに頭を下げています。