昨日(平成30年10月21日)の東京新聞、 住職で作家の玄侑宗久さんが書いていらっしゃる、うゐの奥山 というコラムを読みました。「壁と三和土の魅力」と題して、日本古来の家の壁、床についての考察です。
ただ、現在手掛けているご自身の庫裏の改修工事での思いですので、一般住宅とは当然違ってきますが、自分の思いとも一致する部分があるので、全く、同感という気持ちです。その中に「戦後の建築を見渡すと、どうも日本の風土に合った建築技術や材料をないがしろにしているような気がして仕方がない。日本の風土とは、特に湿度の高さと地震の多さである。」とありました。わが意を得たりという気持ちです。以前から、今の住宅は、大量販売の住宅には適しているが、住む人の健康や住宅の健康については考えていないということを、事あるごとに話してきました。
特に、2×4工法の認可です。あの時期に日米の貿易摩擦の解消策の一つ(原木での輸出ではなく、現地で加工したもの、特にアメリカでの規格で加工したものを輸出したいというアメリカ側の思惑のみを考えてのこと)として、日本の風土、文化については全く考えることなく、導入したものと考えています。 2×4工法という砂漠の国の北アメリカでの工法を建設省のお役人が日本に持ってきて普及させました。自分は、これを、住宅を、普及 させたではなく、腐朽 させたと思っております。 実際、2×4工法で建てて、竣工後、1年もたたずに、湿気による重大な弊害が出てきました。 フキュウ 間もなくの時のお話ですから、今は違うとは思います。
寺社建築と一般住宅はおのずと違って当然ですが、庫裏というのは、お寺の人たちの生活空間ですよね。住宅と考えていいと思います。そういうところに古来の工法を使っていただけるのは非常にありがたいと思います。
一般住宅にその考えを入れようとすると、大変に難しいものがあります。 ただ、壁の中に厚ければ良い!省エネだ!といって、壁の中の空気の流通を止めてしまう断熱材を入れるのはどうかとは思っています。やり方はあるのに、法的定義で、高規格にならず、法的恩恵を受けられなくなるので、それができずに、無駄で余計なお金をかけさせているように思います。 もちろん、需要を無視できませんから高気密高規格住宅の勉強はしています。 そして、長く持たせる方法も考えています。 まだまだ、勉強です。