木材イメージ

見積りをしていて感じる 異常事態

近頃と言いますか、最近と言いますか、建築資材の上昇が半端ありません。コロナ禍の蔓延・収束状況と比例しています。

材木について言えば、コロナ禍が世界的にひどくなり、経済活動が低迷して、安くなりました。中国やアメリまで終息の兆しが見え始めると、建築需要が旺盛になり、木材需要が強まり、上昇しました。日本でウッドショックと呼ばれています。それに伴い、製品であるベニヤ価格が上昇し、それから派生する家具、厨房セットなどが上がっていきました。

銅板なども春先の価格から数倍に近い価格になってしまいました。春先に見積もった手加工の銅製品を発注し、納入されてその請求書を見たら、びっくりです。完全な赤字になっていました。(施主様には転嫁できませんでした。)

それから、世界経済の低迷で原油の生産量を抑えられていたのですが、経済状況が復調に転じても増産しません。よって燃料価格が上がり運搬経費が上がります。コロナ禍の中で大型輸送船の船員も港湾労働者も不足しています。当然、車での輸送もガソリン価格があがれば運送費は上昇します。そんなこんなで今、品物価格がまんべんなく上がってしまいました。

別の面からみると、木材価格の上昇は日本の林業については朗報ではないでしょうか。輸入材の低価格に連動する形で、日本の材木価格は無理やり引き下げられていて、採算割れ状態が続いていましたから。

しかし、自分の考えを言わせてもらうと、日本の木材に対しての評価が不当に安くされていたという思いが強いです。カナダ、アメリカ、ロシアなどの比較的平らで広大な森林で、草刈りみたいに切り出す地域の木材価格と、日本の急峻な山々に、植林し、枝払いなどの手間をかけて育てた木材を単純に価格のみで比較するというのは、あまりに不条理です。単位面積当たりの強度とか、耐久性とか、見栄えなどの品質に対する評価が除外されています。

もっともこれは、住宅メーカーの意向が働いていると思います。たくさんの社員を抱えていて、テレビで宣伝しなければならないものですから、材質の良いものを使うというよりも見栄えだけよくて、価格の安いものを使って何としても原価率を下げて経費率を上げなければ会社を維持させられないという切実な問題があると思うわけです。

日本人のし好が変わってきているからという事にして、日本古来の真壁の和室をなくして、大壁の部屋に柱に見せかけた板を張り付け、厚さが20ミリ程度の畳と称する床材を置いて和室に見せかける手法で、大工の技術のいらない、アルバイトでもできてしまう仕様をさもさも「本物です」みたいに売り込んでいます。 テレビなどの宣伝媒体を駆使し、それが正しい方向だと刷り込んでいるのが今の住宅建築業界です。

戻します。

そして、現在、設備機器関係の納入遅れもすごいです。衛生機器、エアコン、給湯器なども発注から2か月3か月待ちです。これでは建築を請け負う事が怖くなります。 それでも考えてやらなければなりません。 まだ頑張らなければいけない、という事なのだと受け止めています。

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