建具イメージ

障子について

ウィキペディアで見ると、建具一般をさすように書いていますが、ここでは狭義の障子紙を貼った建具ということで書きます。

名称 桟の入れ方によって
荒組  縦繁  横繁  吹寄せ
他にも、桟を面取りしたり、まげたりして、投げ網模様を作ることも可能です。
機能 水腰  腰板  雪見  猫間  彫刻
書院障子  これは床の間の書院に取り付ける障子一般です。
これらのことは、インターネットで調べると、いろいろと説明されています。同じものなのに違う説明もありました。
材料 桧、杉、スプルス、ヒバなど、部屋の造作に使う木材で作成します。
材木の中で、一番良い部位を建具に持っていきます。 細く、薄い部品 ですから、狂わないように素性の非常に良いものを選びます。 部屋の 造作部材は、取り付けで押さえるところがありますから、建具ほど素性 が良くなくても使えます。
茶室は、値段が張りますけど、秋田杉の赤身が良いですね。それから、 茶室で、障子にネズコという材木を使ったこともあります。 少し灰色 がかった色をしています。  桧だと、白さが格式をあげてしまって、 どこか冷たいような感じがします。 涵養庵では土庇の材料に桧を使い ました。出来上がりで、ちょっと違和感を覚えました。
神社とかは桧を使います。においも好きですね。臭いでなく匂い。

障子種類

障子のデザインを考えるとき、桟の入れ方については、荒組とか、縦繁とかの種類を決めて、バランスを考えて、その太さとか桟のピッチを決めているのですが、面を取るときには、また、幾分か材の寸法が代わります。そして、水腰にしましょうとか、猫間にしましょうとか形を決めます。猫間障子には、また、種類があって、普通、上げ下げが一般的で、これだけだと思っている方が大半ではないかと思いますが、横に開くのもありますし、いくつかあります。猫間と雪見の違いについては、自分としては打ち合わせの時に十分説明をして間違わないように気を付けています。そして使う材料を決めていきます。

座敷の場合に入れる障子の自分の好みを言いますと、 木曽ヒノキで、面取り、横繁の吹寄せ、上げ猫、下に5寸ほどの杉の腰板、手掛けは同材で、ですね。上桟・下桟・縦框の寸法、形など細かいことを指示すると大変なことになります。地獄蟻などと言う名前の組方があります。それは又そのうちに。 彫刻を入れるのは趣味ではないです。

手間をかければきりがありません。どこで止めるか?一番大きな要素は値段ですけれど。

次に障子の実利的効用について

障子があると、冬、ガラスの冷気が降りてくるのをかなりさえぎってくれます。2重サッシあるいはペアガラスの役割です。

昼は太陽光を拡散してやわらげてくれて、夜は、室内照明の光を白い障子紙が反射して、照明器具の電灯の表示以上に明るくしてくれます。  実利はそんなところですか。

昼に、障子紙を通すと、太陽光は弱まりますから、室内は柔らかな光に包まれます。また、その太陽光が作る、外の景色の影が面白いんです。 窓格子に植物を這わせたりすると、花などが咲いたときに「あ、咲いた!」などと思います。

逆に、夜、室内の明かりでできる影が、外から見えます。特に彫刻など、細工してある障子だと、外から見るのも一興です。

そして、障子の入った部屋は、それだけで和風に見えます。 床はフローリング、壁天井はビニールクロスでも、障子があると和風に見えると思います。

ついでの話

涵養庵 障子

涵養庵の障子は、杉の赤身を使いました。建具職人さんは、自分の腕を精一杯発揮してくれて、茶室とは思えないデザインの障子を、入レテクレマシタ。 肘掛窓には、外側にすだれを取り付けましたので、夜、外から見ても組子の様子は見えません。 床の間脇の掛け障子のデザインも面白いです。昼はここで、外に這わせたテッセンの様子が影で見えます。夜は、外から障子の組子の様子が影になります。

建具イメージ

集会室の障子は、桟の組み方もヤッテクレマシタが、竹林にすずめが遊んでいる彫刻が入りました。 中から見るのは、それまでですが、夜、その影を見るのも面白いものがあります。

どのような職種でも、腕の良い職人は、それを発揮したいのです。発揮できる場所があり、それを分かってくれる人がいると、本当に喜んで仕事をしてくれます。一番はお客さんに喜んでもらいたいのです。今の建物は、入ったばかりの人でも年季が入っていても、誰でも同じ程度に出来るように工夫されていて、腕を発揮する事が無くなりました。存分に腕を発揮して見せてくれと言って、喜ばしてくれるお客さんがいなくなってきたように感じています。

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