茶室に壁付エアコンを取り付ける イメージ

茶室に壁付エアコンを取り付けるにあたり一工夫

エアコンを取り付けるときの一般的な検討事項として

  1. 取り付ける場所について考えます。 まず、どこに取り付ければ一番効率的に機能が発揮できるか?です。 その次に考えるのは、その場所で見た目は良いか?です。 しかしもっと重要なのが冷媒管・ドレン管の配管経路です。天井付けとか天井埋込型にすれば、取付位置の制約はほとんどなくなります。ドレン水はポンプで高い位置でも排出できるからです。 壁付け型ですと、まず外壁に面さないとドレン水の排出ができません。しかしこれを一工夫してどうにかするのです
  2. ①の続き。壁付けが難しい時に、壁埋め込み型にするか天井埋め込み型にするかを考えます。この時に問題になるのが金額です。 壁付け型はここの程度の広さですと数万円程度ですが、壁埋め込みや天井埋込みだと最低でも数十万円します。 それというのも、天井埋め込み型の機器には、小さくても12畳用とか能力が大きいものしかありません。 当然ランニングコストもかかります。うちは3畳台目の小間の茶室です。水屋を入れても10畳程度しかありません。そのようなものを入れたら夏は寒いし冬は暑いしとなってしまいます。
    それと、先ほど言いましたけれども金額が高くなるというのは取り替えるときにも高くなるという事になるわけです。 今までの機械は大体15年から20年持ちこたえてくれていました。最近はもうちょっと短いかな? 要するに、15年、20年後に新築時の経済状態のままかな?というのがあります。 事実、うちのお客様にも既設が壊れていざ取り換えるというときに、「埋め込みは高いから、見栄えなんかどうでもよいので壁付けで安く上げたい」という方がいらっしゃいました。取り付けましたけれども、あまり面白くはありませんでした。 こういうことは、新築時には勢いがありますから、「これが良いや!」でしたが、生活していくと、そうも言えなくなるのは致し方ないことだと思います。

    このようなことを考えて、壁付けにするという事にしました。そして、その取付位置と納め方に一工夫して考えを進めていきます。

冷暖房計画で検討したのは、温度調節の主は茶室だということです。水屋はおこぼれで良いと思いました。そして、ラーメン構造のRCの建物は構造梁が大きく目立ちます。通常、外周に梁は回っています。梁面取付で高く天井に近く取り付けるか(写真1)、梁下の壁に取り付ける(写真2)か。

写真1
写真1
写真2
写真2

ここではどちらも却下です。 見てくれの悪さが我慢できません。木造の本物に見える茶室づくりを目指しています。 そうなると、茶室と水屋の間仕切りの壁にどうにか本体を隠してしか取り付けられる場所はありません。 考えなければならないことは冷媒管とドレン排水管の配管です。 洋室ですと壁の中を配管して床下におろすことができます。 真壁-真壁の間仕切りの壁には、配管ができる隙間はありません。 4寸角以上の柱であれば壁の塗り厚を少なくして、かろうじて隙間が取れるかもしれません。ここの柱は3寸角ですから全く無理です。どうすれば良いのか? 見てくれ無視で配管を囲うという選択肢もあります。嫌です。

ここでどうしたらできるかを考えるのが楽しいです。壁付けのエアコンを取り付けるには壁は必須です。考えた結果が写真3です。

写真3
写真3

エアコン機械を水屋側に下がり壁を設けてそれに取り付けます。ここではただの下がり壁ではみっともないので囲っています。 写真で説明します。

写真4
写真4

写真4 茶室側吹き出し口の工夫
ただの縦繁の桟では面白くなかった。以前使用していた書院障子を転用しました

写真5
写真5

写真5 水屋側の様子   
下がり壁は当然、他の壁と同材です。

写真6
写真6

写真 6 機械取替時のための取付壁の工夫  
将来の取替を考えて横部分は開けてあり、そこと組子障子を取り外すことで取替え作業ができます。見栄えを考えて横部分の開口に竹の竪格子を入れました。当然外せます。

写真7
写真 7

写真 7 配管の様子
物入れの中を通して外に持っていっています。

写真8
写真8

写真 8 外部冷媒管隠蔽方法
太い孟宗竹で隠しています。裏から見ると丸見えです。

以上のような工夫で、壁付けのエアコンをバッと見せることなく納めることができました。 茶室側吹き出し部分の組子障子は以前の建物の書院欄間障子の転用です。  横の竹は庭で使った晒し竹の余ったものを使いました。

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