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自分が住む家を設計する-第1回-希望を考えてみる

自分が、自分の住む家を、木造で建てるとするとどのような家にするか。 ほんの気まぐれの思い付きで、設計してみようと思いたちました。 このホームページを読んでくださる方御自身が、岡田建設がどのように、どんなものを設計するか、ご自分ならどうするかを一緒に考えていって下されば幸いです。

自分は、ある程度、制約がないとまとめられないので、軽く前提を付けます。
「富津で引退後にどう楽しむか?」とします。
(敷地は市街化調整区域の中ですが、指定前に家が建てあったので、建替えは可能です。)

※2020年9月時点での構想で、まだまだ検討の余地がありますので、続きをお楽しみに!!

敷地 面積は、約500㎡  (宅地として一番制限のきつい第一種低層住居専用地域の規制に則り、建蔽率30%と仮定して、建築面積は150㎡(45坪)以下、容積50%として250㎡以下とします。)
道路は、北側に9mの県道、西側に4mの市道です。
第一種高度地区としても、北側が8m道路で北側斜線の制限は考えなくても良いし、道路斜線
も北・西側ともに考えなくとも良い配置にします。平屋を考えていますので、最高高さも10mを超えることは考えません。
道路との高低差は、県道とは±0. 市道から最高で+800程度の差があります。
南側の隣地との高低差は約+1200あります。東側隣地との高低差は約-700です。
防火・準防火地域の指定はありません。しかし、準防火程度の仕上げを考えます。
50年以上前に山砂で1m程度の盛り土をしてあります。その下は約4m砂。これは井戸も
掘ってあり、吸い込みそうも彫りましたので、この深さはほぼ、確認できます。水位は、-3m(季節の変化あり)くらいです。
北側には既存の和風庭園があります。敷地全体の外周部は生垣です。これらは残します。
構造 木造 在来工法  階段の昇降がだんだんできなくなるだろうから平屋にしたいが、2階建てを否定はしないというスタンスで。基本、平屋で日常の生活を考えているのでエレベーターは考えない。2階は来客用と考えます。

どのような家にしたいか?

  1. まずは、初期投資に少しお金をかけてでも、維持費のかからない家。
  2. これから年々体力が落ちてゆく自分ができるだけ長くこの家に住めるように考えた家。
  3. 部屋には家具も最小限にして、収納部屋を1室設けてここに集中して収納し、掃除をするにも楽になるように考えた家。 天袋は使えなくなることを考えて、必需品は、目の高さ未満にする。
  4. テレビを見なくても一日を過ごせる家。庭に来る小鳥や小動物を見たりすることが出来るように。
  5. 誰でも家に来やすくして、お話したり、食べたりできる家。
  6. 必要室数は、寝室6畳、LD+K、キッチンセットはボックス型でも可、客室、ユニットバス1坪タイプ、トイレユニット0. 5坪。 できれば立礼で茶道のできるスペースがほしい。
  7. 今回の想定は老夫婦だけを考えればよいので、家相的には完璧に近づけたものにしたい。
    しかし、一般的には、家族がもっと多いと考えるべきで、それぞれにとって、すべて完璧に良い家相にはなりにくいので、その時は、少なくとも、世帯主夫婦にとってとなりますでしょうか。

希望としては、まずは大体こんなところでしょうか。

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1.初期投資に少しお金をかけてでも、維持費のかからない家。

1についての解決策としては

  1. 太陽光発電を考える。売電はしない。蓄電池はコスト的(イニシャル、ランニングとも)に、時期尚早と考えているので不用。電気自動車を考えたい。
  2. 余った電気の利用として、蓄熱装置を考える。夏は製氷、冬は温水を造り、それにより冷暖房のコストを下げる。
  3. 原理が簡単な太陽光温水器を設ける。 2と関係するが、こちらはお風呂、給湯用。
  4. 冷暖房のランニングコストを抑えるために、遮熱パネル又は遮熱シートで建物全体を包み込むイメージで取り付ける。当然、断熱も考える。
  5. 雨水の有効利用。これは水道水を、庭木の散水に使わないようにするためです。 雨水貯留槽を考えるが、池というのもありではないかと考えています。(家相的にはあまり良くない)  富津荘では現在、雨樋の水を1か所に集め、自然に日本庭園の水遣りができるようにしています。このアイデアで人の住まない家の庭に移植した植木達が枯れずに活着しました。
  6. 大屋根は瓦葺きです。今の富津荘も和瓦葺き。今年初めて台風被害にあいました。50年以上前の施工であったことから、棟瓦を縛っていた銅線が細くなり、強い風で一部が切れて、飛んでしまったという事です。今の施工方法では、銅線の防錆加工もし、太くしたりもしているので、風速にして50m程度に耐えられると考えています。
    瓦は、基本的にメンテナンスフリーです。 コロニアルのように10年位で塗装をする必要はありません。「耐震的に大丈夫ですか?弱くないですか?」とよく聞かれるのですが、構造計算の時、重い屋根材として計算し、それなりに耐震壁を設けますし、今は軽量瓦で、構造材への負担も少なく、それらをしっかりと野地板に留めることで、ずり落ちはなく、耐震・耐風的に、十分に安全と考えています。
  7. 外部に使う板金は、再塗装などのメンテの必要を無くすためにカラーステンレスとします。ステンレスに焼き付け塗装をしたもので、施工が上手ならば、耐久性は半永久的です。 銅板も良いのですが、耐久性はステンレスよりも少し劣ります。性質が柔らかいので、樋で、長い間に穴が開いたこともありました。(酸性雨の影響もあります) 厚い銅板を使うと耐久性は格段に上がります。そういうことも考えられますが、材料費もあがり、加工手間も上がります。あくまで、良い技術があって、有効です。用い方と腕です。
    以前に、ある家の修理依頼がありました。見てくれも良い家でした。板金は銅板を使っていたのですが、施工が稚拙でした。張ってあった銅板はしっかりと残っていたのですが、施工不良から、毛細管現象で水を吸い上げ、下地の木部が腐っていて、処置ができませんでした。
    というわけで、板金材と一部の屋根材はステンレス。ただし、屋根部分は、断熱あるいは遮熱をしっかりやらないと、太陽熱をもろに浴びて居住性を悪くしてしまいます。
    壁に、デザイン的に銅板を張るという事をやるとおしゃれだと思います。 壁に銅板を張るのは、関東大震災以降の商店建築のファサードで、はやりました。(看板建築と言います。) 壁に銅板を使うときに、施工上、特に気を付けなければならないのは、電蝕です。アルミサッシと銅板を決してくっつけてはいけません。

2~7のことは、その都度対応を考えて計画を進めます。

この段階では、設計者たる自分にもイメージはできていません。設計屋が自分の家を設計しようとしているのにこれです。 普通の建て主さんにすればなおさらです。 ですから、ここはしっかりと、気持ちをプロに伝えて下さい。
しかし、今建てようとする人たちは、いろいろな場所を歩いて、建物を見ているのでこんな風にやりたいというイメージは、自分よりもできているかもしれません。
「どういう建物にしたいという気持ちを伝えるのは、プロにする。」というのが大事なところです。住宅会社の若い営業社員は設計のプロではありません。彼では、建て主さんの意図をプランに取り入れるのは非常に難しいと思わなければならないと思います。そうすると、彼の解決策は、彼の会社の基本パターンのプランを取り出した間取りになりがちです。自分たちに合わせた家での新しい生活ではなく、自分たちがその家に合わせた新しい生活をすることになると思います。気を付けていただきたいです。注文住宅ではないように思います。

前の段で書きましたが、決まったパターンから間取りを取り出して、設計と称するのはどうかな?と思っています。 少なくとも注文住宅と称するからには、その人その家族の新しい生活に沿った間取りを考えるべきと思っています。
制約が厳しければ厳しいほど、設計が難しければ難しいほど、設計者としてはおもしろいものです。解決に向かう道筋を見つける楽しさがあります。

そして工事にかかる金額の事です。 あまり、理想を追い掛け過ぎると、金額がかかってしまいます。妥協点は、どこにあるかを見ることも大事になってきます。ですから希望の優先順位を事前に決めておくことも考えておいてください。
但し、妥協点をどこに置くかを考えるのは、設計者と十分なすり合わせをしてください。この作業が一番大事ですが、一番難しいと思っています。

今回の設計では、まず自分の考えているものを全て網羅し、その次に、金額を抑えたものを考えます。

手順1 配置
敷地図をみて、道路からどこから入るか? 既存の施設で残すべきものは何か? 車庫
は?この段階では庭を考えませんが、既存の庭があるときは残すべき石、樹木を考えます。
普通、庭のことは最後になることが多いです。門、車庫については設計段階で考えます。
手順2 間取り
 一般的な家相を考えて平面プランを練るときは、玄関、水回りを鬼門・裏鬼門に配置しません。その他、西に台所・便所は避けます。そのような事を考慮して、間取りを考えて作っていきます。
「一般的な」といったのは、その人個人の持っている星によって、張りなどの方位が微妙に違うときがあるからです。
そして、自分自身の経験上、家相の良し悪しのあたる確率が70%程度あると考えていま
す。

配置と、たたき台となる平面プランを3つ考えました。

1.良い家相を優先に考えた間取り。
2.使い勝手の良いことを優先に考えた間取り。
3.民泊などの利益を加味した間取り。

次回 具体的な平面プランに続く >>

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