設計から、施工まで
この工事は、去年の5月ころから、お話がありました。
ちょうどコロナで外出自粛がかなり守られていたころでした。ですから、そのころは直接お会いして詳しくお話を聞けませんでした。
簡単な話、1階が倉庫、2階が居室の木造建物の2階部分を取り壊して、1階の倉庫を一部残して、茶室に改造する工事です。そして、「気の置けない方々と楽しくお茶をしたい。しかし、贅沢な茶室では無理。お茶室の体裁はきちんとして、なるべく安く建てたい。」と言うものです。 コロナの他、諸般の事情から、実際の打合せは去年の11月ころから始まりました。
最初にしたことは、既存の建物を現調して採寸することで、それに基づいた平面図から間取りを考えます。 壊す前に、採寸をうちの大工にさせました。その時には内壁があるので、柱の位置とか梁の掛け方ははっきりとはわかりませんが、大工の長年の経験からかなり正確にわかります。ここで、ちょっとした問題が発生しました。大工が採寸するときに、仕上げる時の床の高さのことを考えることはなかったのです。そして、建物の1階部分の階高が一般とは違って、かなり低かったのです。 天井の高さは茶室の場合は低いので問題ではなかったのですが、畳床高さと地面からの高さを考えたとき、そのままでは躙(ツクバ)って入室という状況ではなくなります。沓脱石の上でしゃがんだときに、躙り口の高さがどうしようもないのです。躙り口をつけることが条件でしたので、困りました。
これの解決方法は、沓脱石を据える時に地面を掘って、沓脱石まで階段で降りていくイメージにして、必要な高さを取ることにします。 掘ると、その次に問題になるのがその部分の排水です。このことは何とかなりました。
このような事を考えて、進めました。
平面図①は既存の建物の平面図です。
平面図②が最初の平面プランです。
これは、施主様の意向を汲み取って作成しましたが、施主様の流儀のお点前のやり方についての検討はされておりません。あくまでも自分が、施主様の意向を平面図にまとめたという図面です。この図面での問題点をあげます。
- 下座床になる。
- 座った人から流しが見えてしまう。
- このような茶道口と給仕口をとると、お給仕をする時に、お点前をしている亭主が邪魔になる。
とりあえずはこのような事が修正されるべき問題点でした。
図面 ③ ~ ④ ~ ⑤ が変更過程です。
ここからの打合せで、小さな変更が何回かありました。
- 茶道口と給仕口は分けなくともよい
- 倉庫をとお手水屋に入るのは嫌
- 床の間の横幅、水屋流しの横幅
- 流しの高さは、床から80cmの高さにする
- 天井の高さが違ってくるが、その仕上げは網代天井にしてほしい
- 仕上げ材についての打合せ
- 躙り口廻の納まり
倉庫の一部に茶室にする工事
vol.1 / vol.2 / vol.3 / vol.4 / vol.5 / vol.6 / vol.7 vol8 / vol.9